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SF薀蓄館

タイムトラベル

 時代遡行(さかのぼること)が主ですが、勿論、未来へも行きます。理論はちょいと難しいので割愛させていただくことにして──要するに、時間移動することで、物語を動かす作品です。

 過去に行く場合、タイムパラドックスと呼ばれる問題が出てきます。突如歴史のなかに別の要素が加えられたことで、今までの時間の流れが変わってくるのではないか、という点です。
 
 もし、過去へ旅立ち、自分の親の結婚を阻止したとしたら、その瞬間に、あなたの存在は消えてしまいます。しかしこの時、実は、
1.両親から生まれた自分が親の結婚を阻止した
2.結婚しなかったので、自分は生まれていない
 と言う矛盾点が生じます。
 時間移動を扱う場合、こういった矛盾点(矛盾点の大きさは話のスケールによりますが)をどう埋め合わせるのかが重要になってきます。
 そこで、過去へ旅立った人間には、してはならない無言の定理が存在してきます。「過去の人間には関わらない」「歴史を変えない」この二つです。

 未来への時間移動の場合も然りです。
 例としましては、自分の未来を見てしまった主人公が、それを変えるために現代に戻り努力しようとする──ドラえもんですね。
1.ジャイ子との未来
2.しずかとの未来
 どちらも、のび太の未来であるのに、作品では、ジャイ子との未来はあまり語られません。
 パラレルワールドと言うものがあります。物事には分岐点があり、選択肢によって、Aの未来の可能性、Bの未来の可能性がある。通常は片方しか存在しないはずの未来が、何かのきっかけで、両方存在してしまうのです。その原因の主なものが時間移動、タイムトラベルと呼ばれるものであることは、もうおわかりですね。
 どちらも平行して存在する未来。どちらかが消える、ということはありません。一度分かれた未来が一つになるとしたら、どこかでやはり、その矛盾点を修正しなくてはなりません。

 タイムトラベルものは、理論も大事でしょうが、それ以上に、矛盾点をどう克服するかが物語の鍵になります。読了後に、矛盾点を残してしまうのは危険なので、作者自身が図式で時間の流れを把握しておくことが大切になってくると思われます。

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