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SF薀蓄館 |
宇宙SF
科学設定において、もっともオーソドックスな舞台である、広大な宇宙。
扱い方としては、主に二種類に分かれます。
1)別の惑星
資源不足になった、あるいは地球環境の悪化による新天地開拓のために、別の星へ行くというパターン。異なる環境や、新生物によるパニックを切り抜けるというパターンが多いです。この場合は、惑星や新生物の設定を新しく作らなければならないのでかなり手間がかかりますが、オリジナリティを確立することができます。
2)宇宙船
宇宙を移動する船。太陽系や銀河を駆け、さまざまな舞台を移動できるという利点があります。また、宇宙船という密室空間を生かした人間心理の狂気を描くことで、SF設定が苦手な読者層の心をつかむこともできます。
1)では、アメリカの有名なドラマ『新・アウターリミッツ』で資源獲得に来た地球人が、無人だと思われていた惑星に着陸。しかし、なぜかそこに現地人がいて、彼らを撃ち殺します。資源を獲得するのは、ここを見つけた地球人であり、現地の人間をどうしようとこちらの勝手だという歪んだ主義のために。ところが、ここで事実が発覚します。何とそれは現地人ではなく、別の惑星からやってきた宇宙人だったのです。それも子供。つまり彼らは、別の惑星へ旅行しに来た子供たちであり、地球人はそんな子供たちを――知らなかったとはいえ――容赦なく撃ち殺してしまったのです。
そして、地球人はその制裁を受けてしまいます。やがて、怒りで真っ赤になった宇宙人たちは、そのまま地球へ――おそらく宇宙人は容赦なく地球人を消していくでしょう。地球人がしてきたことと同じように……。植民地支配主義を皮肉ったストーリーと言えるでしょう。
2)では、代表的な作品として『エイリアン』をあげてみましょう。
ある惑星で、作業員が宇宙人にはりつかれるというハプニングが発生。その後生還したと思いきや、その作業員の体内にはエイリアンが寄生していて、やがて育ったエイリアンは作業員の腹を食い破ってほかの作業員たちを――
今や誰もが知っているパニックムービーですが、この作品ではある画期的な手法が使われています。
暗い船内。漏水によって滴る水。闇から出てくる怪物の影。
何かを連想しないでしょうか? 実はこれ、ホラームービーの手法なんです。古い屋敷を老朽化した宇宙船に。謎の幽霊を未知の宇宙人に。一見かみ合わないと思われるホラー手法をSFに組み合わせるという荒業をやってのけたのです。
広い宇宙空間を活かすもよし。異なる惑星を使うもよし。密室たる宇宙船を扱うもよし。宇宙はやはり広い。だから宇宙SFもまた、さまざまな可能性が秘められているのです。
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※以上、かわい洋ヘイさんからの寄稿を一部修正して掲載させていただきました。ご協力ありがとうございました!
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